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鳥取大学2025年前期文系第3問

こんにちは。Tです。
鳥取大学2025年前期ラストの1問。文系セットの第3問は,一見するとややこしそうな,新たな記号が定義されるタイプの問題です。

鳥取大学2025年前期文系第3問_b0418931_22081409.jpg
(1)は,与えられた式をx^2+x+1で割った余りを求めるだけor2つの余りを掛けて,同じ式でもう一度割った余りを求める,という単純作業です。
(2)については,次の”前振り”が参考になります。

前振りの前振り:15,21を8で割った余りは,それぞれ7,5です。
        では,これらの15+21を8で割った余りは,余りの和7+5=12 … を8で割った余りの 4 になります。
本当の前振り:15,21をで割った余りは(以下略)
       では,これらの積15×21を8で割った余りは,余りの積7×5=35 … を8で割った余りの 3 になります。

つまり,”余り”の”和・差・積”は,”和・差・積”の”余り”…と,四則計算のうち商以外と余りは交換可能ですが,余りの和差積が割る数を超えたり,差のときは負になり得るので,それをもう一度割った余りとすればよい,というのは有名な話です。(合同式の性質のところで学習します)
本問の(2)は,それが多項式の割り算の余りについても全く同様に成り立つことの証明で,(1)の一連の流れ,特に③・④は,それを具体例で観察するというものです。

最近,本業の授業で式の割り算について指導する機会があり,そこで話したことそのままですが,式の割り算に関しては,具体的な式と式の割り算の場合のみ筆算で,それ以外のときはもっぱら「A=BQ+R」を活用する一択です。文系受験生にこんな抽象的な証明を要求するのはなかなかに硬派ですが,一入試問題としては,何をやればよいかが明確で、その道のりも一本道で,ひじょうに単純なものと言えますね。

鳥取大学2025年前期文系第3問_b0418931_22081459.jpg

解答ラストの”参考”は,だいぶ前に何かの問題の解答に対してこういうツッコミのコメントを頂いたので,保険のために付けておきました(笑い)
個人的には,採点する側の大学の先生は,「余りは1次以下または0なので」と書いている方がイラつくのではないのかな~と思うのですが…いかがでしょうか???


さて,これで鳥取大は終了なので,明日には次の大学をお送りできれば…と思っています。

by mathmathmass373 | 2025-05-14 12:07 | 大学入試数学 | Trackback | Comments(0)